田中さん(仮名)は、新しい生活への期待を胸に、都内にある築15年の賃貸アパートに引っ越しました。立地も良く、部屋もリフォームされていて快適そうに見えましたが、入居して数日後、洗面所兼脱衣所にある洗濯機置き場から、気になる臭いが漂ってくることに気づきました。それは、明らかに下水の臭い。特に、換気扇を止めている時や、湿度が高い日に強く感じられます。田中さんは、まず自分でできる対策として、排水口のゴミ受けを掃除し、市販のパイプクリーナーを試してみました。しかし、臭いは一向に改善しません。洗濯機の排水ホースの位置を確認したり、洗濯槽クリーナーを使ってみたりもしましたが、効果はありませんでした。これは自分の手に負えない問題かもしれないと感じた田中さんは、アパートの管理会社に連絡し、状況を説明しました。管理会社の担当者は、すぐに状況を確認に来てくれましたが、排水トラップ周りを見る限り、特に異常は見当たらないとのこと。「一度、専門業者に詳しく見てもらいましょう」ということになり、後日、管理会社が手配した水道業者が点検に訪れました。業者は、排水トラップを分解して内部を確認しましたが、田中さんが掃除した後だったこともあり、大きな汚れは見つかりませんでした。しかし、念のためトラップの部品が正しく組み合わされているか、封水がきちんと溜まるかなどをチェック。さらに、他の部屋の住人にも同様の問題がないか聞き取り調査を行ったところ、同じ階のいくつかの部屋でも、程度の差こそあれ、同様の臭いがすることが判明しました。この結果から、業者は個別の部屋の問題ではなく、共用の排水管、あるいは建物全体の換気系統に問題がある可能性を疑いました。後日、より詳細な調査が行われ、その結果、一部の共用排水管に汚れが酷く溜まっている箇所があり、それが臭いの原因となっていることが特定されました。管理会社は、専門業者による共用排水管の高圧洗浄を実施。洗浄後、田中さんの部屋を含め、臭いに悩まされていた他の部屋でも、下水の臭いは完全に解消されました。この事例のように、賃貸物件での洗濯機周りの下水臭は、自分の部屋だけでなく、建物全体の設備に起因する場合もあります。自分で対策しても改善しない場合は、決して一人で抱え込まず、早めに管理会社や大家さんに相談することが、スムーズな解決への近道となります。
賃貸アパート洗濯機排水の臭いトラブル解決事例