築年数が経過した住宅では、水回りのトラブルが起こりやすくなる傾向があります。その中でも、「カランからは水が出るのに、シャワーだけが出ない」という問題は、比較的身近な悩みの一つと言えるでしょう。新しい家ではあまり考えられないような原因が潜んでいることもあります。例えば、都内にある築35年の一戸建て住宅にお住まいのAさんのケース。ある日突然、シャワーのお湯だけが出なくなり、水はかろうじて出るものの勢いが非常に弱い状態になりました。カランからは問題なくお湯も水も出ます。シャワーヘッドの掃除を試みましたが改善せず、業者に見てもらったところ、原因は水栓内部の切り替え弁の経年劣化による固着でした。長年の使用で部品が摩耗し、うまく切り替えができなくなっていたのです。部品交換で無事に修理できましたが、古いタイプの水栓だったため、合う部品を探すのに少し時間がかかったそうです。また、地方都市にある築45年のマンションにお住まいのBさんの場合は、少し異なる原因でした。Bさん宅でも同様にシャワーだけ水の出が悪くなり、カランは正常。業者に点検を依頼したところ、切り替え弁にも問題はなかったものの、シャワーホース内部に長年蓄積したサビや水垢が詰まっていることが判明しました。特に、古い建物では配管自体にサビが発生している場合があり、それが剥がれてシャワーホースやヘッドに詰まりやすいのです。このケースでは、シャワーホースとシャワーヘッドの両方を新しいものに交換することで解決しました。さらに古い住宅の場合、水栓自体の設計が現在のものと異なり、特定の部品が摩耗しやすかったり、そもそも構造的に詰まりやすかったりすることもあります。例えば、温度調節機能と切り替え機能が一体になったサーモスタット混合水栓の初期のモデルなどでは、内部構造が複雑でトラブルが起きやすいものもありました。これらの事例からわかるように、築年数の古い家でシャワーが出なくなる原因は、単なるシャワーヘッドの詰まりだけでなく、水栓内部の部品の劣化や、配管から流れてくるサビなど、建物自体の経年変化が関わっている可能性があります。自分で解決できない場合は、古い住宅の水道修理に詳しい、経験豊富な業者に相談することが重要です。原因を正確に突き止め、適切な対処をしてもらうことが、再発防止にもつながります。
築年数の古い家でシャワーが出ないカランから水は出る