日曜日の昼下がり、山田家のキッチンは昼食の後片付けで賑わっていました。妻の良子が食器を洗い、夫の健一がそれを拭いて片付ける。いつも通りの光景でしたが、その日は少し様子が違いました。「あら?なんだか水の流れが悪いわね」良子が呟きました。シンクに溜まった水が、いつもよりゆっくりとしか引いていきません。「本当だ。ゴミ受けに何か詰まってるんじゃないか?」健一がゴミ受けを確認しましたが、特に大きなゴミはありません。「困ったな。昨日、天ぷらの油、少し流しちゃったのが悪かったかしら…」良子が心配そうに言います。「えっ、流したのか?あれほどダメだって言ってるのに」健一は少し呆れ顔です。とりあえず、家にあったラバーカップを使ってみることにしました。健一が力いっぱい押したり引いたりを繰り返しますが、状況は変わりません。「だめだ、これじゃ埒が明かない」汗を拭いながら健一が言いました。「どうしよう…このままだと夕飯の準備もできないわ」良子は途方に暮れています。高校生の息子、太郎がリビングからやってきました。「どうしたの?なんか揉めてる?」事情を聞いた太郎は、スマートフォンで何かを調べ始めました。「重曹とお酢がいいって書いてあるよ。試してみる?」早速、キッチンにあった重曹とお酢で試してみましたが、これも効果なし。「もう業者さん呼ぶしかないんじゃない?」太郎が提案します。「そうね…でも、日曜日にすぐ来てくれるかしら。料金も高そうだし…」良子はためらいます。「いや、このままじゃどうしようもない。俺が電話してみるよ」健一がタウンページやインターネットで水道業者を探し始めました。いくつかの業者に電話し、状況を説明すると、幸いにも1時間ほどで来てくれる業者が見つかりました。しばらくして到着した作業員は、手際よく状況を確認し、専用のワイヤー式トーラーを使って作業を開始しました。ゴリゴリという音とともに、しばらくすると「抜けましたよ!」という声が。試しに水を流してみると、勢いよく排水されていきます。「よかったー!」山田家全員から安堵の声が漏れました。作業員によると、やはり油汚れと食材カスが固まったものが原因だったようです。「これからは油を流さないように、もっと気をつけます」良子は深く反省したのでした。この一件で、山田家ではシンクの使い方について、改めて話し合うきっかけになったそうです。
山田家のシンク詰まり騒動記