冬の厳しい寒さが訪れると、私たちの生活に欠かせない水道が思わぬトラブルに見舞われることがあります。その代表格が「水道管の凍結」です。蛇口をひねっても水が出ない、あるいは最悪の場合、凍結によって水道管が破裂し、水漏れを引き起こすこともあります。では、なぜ水道管は凍結してしまうのでしょうか。その基本的なメカニズムは、水が氷になる過程にあります。水は温度が下がると体積が収縮しますが、氷点下の0度を下回り氷になると、逆に体積が約9パーセントも膨張します。この体積膨張の力が、密閉された水道管の内部から強い圧力をかけ、管の弱い部分や接続部を破損させてしまうのです。特に凍結しやすい条件としては、まず第一に気温が挙げられます。一般的に、外気温がマイナス4度以下になると凍結の危険性が高まると言われています。しかし、これはあくまで目安であり、マイナス4度に達しなくても凍結することは十分にあり得ます。気温だけでなく、風の影響も大きく関係します。強い風が吹き付ける場所では、水道管の熱が奪われやすく、気温以上に冷え込み、凍結しやすくなります。日当たりも重要な要素です。日陰にある水道管や、北向きで日が当たりにくい場所にある水道管は、日中の温度上昇による自然解凍が期待できず、凍結のリスクが高まります。建物の構造や水道管の設置状況も影響します。屋外に露出している水道管、建物の北側にある水道管、風が直接当たる場所にある水道管、そしてメーターボックス内の水道管などが特に凍結しやすい箇所として挙げられます。また、長期間家を留守にするなど、水道の使用頻度が低い場合も、管内の水が動かないため凍結しやすくなります。これらの条件が複合的に重なることで、水道管凍結のリスクはさらに高まります。凍結は単に水が出なくなる不便さだけでなく、破裂による漏水被害という経済的な損失にも繋がりかねません。メカニズムと危険な条件を理解し、早めの対策を講じることが、冬場の水のトラブルを防ぐ鍵となります。
水道管が凍る仕組みと危険な条件