それは、ある日の夕食後、いつものように洗い物をしていた時のことでした。シンクに溜まった水が、なかなか引いていかないのです。最初は気のせいかと思いましたが、明らかに水の流れが悪くなっています。「まさか詰まった?」と不安がよぎりました。その日はなんとか水が引くのを待ち、翌朝、改めて状況を確認すると、やはり流れは非常に悪いままでした。これは本格的に対処しなければならないと覚悟を決め、まずは自分でできることを試してみることにしました。インターネットで調べた情報をもとに、最初に試したのは重曹とお酢(またはクエン酸)を使った方法です。排水口周りのゴミ受けなどを外し、排水口にたっぷりの重曹を振りかけ、その上からお酢を注ぎました。シュワシュワと泡立つ様子に期待が高まります。しばらく放置した後、熱いお湯(熱湯は排水管を傷める可能性があるので避けるべきとのこと)を流してみましたが、残念ながら流れはほとんど改善されません。次に試したのは、ラバーカップ、通称「すっぽん」です。シンクに水を溜め、排水口にラバーカップを密着させて、力強く押したり引いたり。これを何度も繰り返しましたが、ゴボゴボという音はするものの、詰まりが解消される気配はありませんでした。むしろ、押し戻される水の勢いに、心が折れそうになります。最後の望みを託したのは、市販の液体パイプクリーナーです。説明書に従い、適量を排水口に流し込み、指定された時間放置しました。粘度の高い液体が、排水管の奥の汚れを溶かしてくれるはずだと信じて待ちました。そして、再びお湯を流してみると…わずかに流れは良くなった気もしましたが、以前のようなスムーズさには程遠い状態でした。結局、私の力ではどうにもならず、プロの水道業者さんに依頼することに。業者さんは専用の道具(トーラーや高圧洗浄機)を使い、あっという間に詰まりを解消してくれました。原因は長年蓄積した油汚れだったようです。自分で格闘した時間は何だったのかと思いましたが、同時にプロの技術のすごさを実感した出来事でした。