水道管の凍結による最も深刻な被害は、管の破裂です。水が氷る際の体積膨張に耐えきれず、管が裂けたり、接続部が破損したりすることで、大規模な水漏れを引き起こします。この凍結破裂のリスクは、実は水道管の「材質」によっても差があることをご存知でしょうか。現在、一般家庭で使用されている水道管の主な材質には、金属管(鉄管、銅管、ステンレス管など)と樹脂管(塩化ビニル管、ポリエチレン管、ポリブデン管など)があります。それぞれの材質が持つ特性と、凍結に対する強さを見ていきましょう。まず、古くから使われている「鉄管(鋼管)」です。亜鉛メッキされたものが一般的ですが、経年劣化で内面にサビが発生しやすく、サビこぶによって水の通り道が狭くなったり、管自体が脆くなったりします。鉄管は比較的硬いため、凍結による膨張圧力がかかると、伸びて変形するよりも、突然パキッと割れてしまう傾向があり、破裂のリスクは高いと言えます。特に、サビで弱くなった部分が破損しやすいです。次に「銅管」です。主に給湯配管に使われることが多いですが、比較的柔らかく加工しやすい反面、鉄管と同様に凍結による破裂のリスクはあります。ただし、鉄管よりは若干の柔軟性があります。「ステンレス管」は、サビに強く耐久性が高い優れた材質ですが、コストが高いため普及率は高くありません。凍結に対しては比較的強いとされていますが、絶対に破裂しないわけではありません。一方、「塩化ビニル管(塩ビ管、VP管、HIVP管)」は、現在、給水管として広く使われています。軽量で施工しやすく、サビの心配もありません。しかし、塩ビ管は低温になると硬く脆くなる性質があり、衝撃に弱くなります。また、素材自体の伸縮性も金属管ほどではないため、凍結による膨張圧力でひび割れたり、割れたりするリスクがあります。特に衝撃が加わりやすい場所や、寒暖差の激しい場所では注意が必要です。近年、普及が進んでいるのが「ポリエチレン管」や「ポリブデン管」などの架橋ポリエチレン管です。これらの樹脂管は、非常に柔軟性に富んでおり、低温環境下でも硬くなりにくいという特徴があります。そのため、凍結しても管がある程度膨張して圧力を吸収し、破裂しにくいとされています。ただし、絶対に破裂しないという保証はなく、接続部分などから漏水する可能性はあります。