「蛇口のパッキン交換なんて簡単だよ」なんて声も聞きますが、私たち水道修理のプロから見ると、実は意外な落とし穴がたくさんある作業なんです。ご自身で挑戦される方も多いですが、失敗して結局私たちを呼んでいただくケースも少なくありません。今回は、プロの視点から見たパッキン交換の注意点や成功のコツをお話ししましょう。まず、一番多い失敗が「適合するパッキンを選べない」ことです。蛇口の種類やメーカー、製造年によって使われているパッキンの形状やサイズは驚くほど多様です。特にコマパッキンはミリ単位でサイズが異なりますし、Oリングも太さや直径が様々。見た目が似ていても、微妙に違うと水漏れは止まりません。ホームセンターで適当に買ってきたパッキンが合わず、何度も買い直しに行く…なんて話はよく聞きます。できれば、古いパッキンを外して持参するか、蛇口のメーカーと品番を正確に控えてから買いに行くのが確実です。次に多いのが「分解・組み立て時のミス」です。特に古い蛇口の場合、ネジやナットが水垢やサビで固着していることがよくあります。無理に力を加えると、ネジ山を潰してしまったり、配管自体を傷つけたりする恐れがあります。専用の工具を使ったり、潤滑剤を使ったり、それでもダメなら諦めてプロに任せる勇気も必要です。また、分解した部品の順番や向きを忘れてしまうのもありがちな失敗。特にシングルレバー混合栓のカートリッジなどは、向きを間違えると正常に動作しません。分解する前にスマートフォンで写真を撮っておくなど、記録を残しながら作業するのがおすすめです。締め付けの力加減も重要です。緩すぎれば当然水漏れしますが、逆に締めすぎるとパッキンが潰れて劣化を早めたり、部品が破損したりします。特に樹脂製の部品は割れやすいので注意が必要です。「しっかり締める」ことと「力任せに締める」ことは違います。作業後の確認も大切です。パッキン交換が終わったら、必ず止水栓をゆっくり開けて、水漏れがないか、蛇口が正常に動作するかを確認してください。最初は漏れていなくても、しばらくしてから漏れてくることもあります。作業完了後、数時間は様子を見るようにしましょう。パッキン交換は、手順さえ間違えなければDIY可能な作業ですが、これらの落とし穴があることも事実です。少しでも不安を感じたら、無理せず私たちプロにご相談ください。