あれは忘れもしない、金曜日の夜のことでした。一週間の疲れを癒そうと、少し手の込んだ夕食を作り、後片付けをしていた時のことです。シンクに溜まった水を流そうとした瞬間、ゴボゴボッという鈍い音と共に、水の流れが完全に止まってしまったのです。「え?」最初は信じられませんでした。普段から多少流れが悪いなとは感じていましたが、まさか完全に詰まるとは。シンクには汚れた水がなみなみと溜まり、生ゴミも浮いています。最悪の状況です。とりあえず、自力でなんとかしようと、まずはラバーカップ(スッポン)を試しました。必死に何度も上下させましたが、水位は一向に下がる気配がありません。次に試したのは、買い置きしてあった液体パイプクリーナー。強力タイプを選んで、ボトル半分ほどを慎重に注ぎ込みました。説明書通りに30分ほど待ちましたが、結果は同じ。シンクの水は微動だにしません。もうこの時点で、心は折れかけていました。時刻はすでに夜10時を回っています。業者さんを呼ぶにしても、深夜料金がかかるかもしれない。でも、このまま放置するわけにもいきません。シンクは汚水で満たされ、生ゴミの臭いも漂い始めています。意を決して、インターネットで24時間対応の水道修理業者を探し、電話をかけました。状況を説明すると、「おそらく油汚れと食べカスが固着している可能性が高いですね」とのこと。幸い、比較的近くに作業員の方がいるとのことで、1時間ほどで駆けつけてくれることになりました。待っている間の1時間は、本当に長く感じられました。業者さんが到着し、まずは状況を確認。そして、トーラー機と呼ばれる、先端にワイヤーが付いた専用の機械を排水管に挿入し、作業を開始しました。ガリガリ、ゴリゴリという音が響き、固まった汚れを砕いているのが分かります。格闘すること約20分。「抜けましたよ!」という声と共に、シンクの水が一気に渦を巻いて吸い込まれていきました。あの瞬間の安堵感といったら!原因はやはり、長年蓄積した油汚れと食べカスの塊だったそうです。自分でどうにかしようとした時間と労力、そして精神的なストレスを考えれば、もっと早くプロにお願いすればよかったと心底思いました。そして、日頃から油を流さない、こまめに掃除するなど、予防がいかに大切かを痛感した夜でした。
恐怖キッチン排水溝が完全封鎖した夜