既存のお風呂の排水溝に排水トラップが設置されていない、あるいは古いタイプのトラップで機能が不十分な場合、後付けで新しいトラップを設置することが、臭いや害虫の問題を解決する根本的な方法となります。DIYで行うことも不可能ではありませんが、いくつかの技術的なポイントを押さえておく必要があります。まず、排水トラップには様々な種類があることを理解しましょう。浴室で一般的に使われるのは「ワントラップ」です。これは排水口内部にお椀型の部品(ワン)を設置し、その周囲に水を溜める(封水する)構造です。後付けも比較的容易なタイプが多いです。その他、配管自体を曲げて封水する「Pトラップ」や「Sトラップ」などがありますが、これらを後付けするには床下の配管工事が必要になることが多く、DIYの難易度は格段に上がります。後付け用のワントラップを選ぶ際は、既存の排水口の直径や深さ、排水管の接続口のサイズに適合するものを選ぶことが最も重要です。サイズが合わないと、うまく設置できなかったり、隙間ができて水漏れや臭い漏れの原因になったりします。購入前に必ず既存の排水口の寸法を正確に測りましょう。取り付け作業においては、まず既存の排水口周りを徹底的に清掃することが大切です。髪の毛や石鹸カス、汚れなどが残っていると、新しいトラップがうまく密着せず、不具合の原因となります。古い部品(目皿など)を取り外し、ブラシなどを使ってきれいにしましょう。新しいトラップ部品を設置する際、特に重要なのが防水処理です。排水口本体と床材の間や、トラップ部品と排水管の接続部分など、水の通り道となる箇所には、バス用シリコンコーキング材などを適切に使用し、水漏れが起こらないように確実にシールする必要があります。コーキング材の塗布が不十分だったり、硬化前に水を使ってしまったりすると、漏水の原因となり、階下への水漏れなど深刻なトラブルに繋がる可能性があります。また、排水がスムーズに流れるように、適切な勾配が確保されているかも確認が必要です。トラップを設置したことで水の流れが悪くならないように、部品の選定や設置位置に注意します。これらの作業には、ある程度の知識と経験、そして適切な工具が必要です。