あれは忘れもしない、真冬の寒い夜のことでした。寝静まった深夜、ふとトイレの近くを通ると、かすかに「ちょろちょろ…」という水の音が聞こえることに気づいたんです。最初は気のせいか、あるいは隣の家の音かと思いましたが、どうも我が家のトイレの中から聞こえてくるようです。気になってトイレのドアを開け、耳を澄ますと、間違いなくタンクの中から水が流れる音が続いています。便器の中を覗き込むと、水面がわずかに波打っており、便器の内壁を水が伝っているのが見えました。「まさか、水が止まっていない?」焦ってレバーを何度か動かしてみましたが、音は止まりません。時間は深夜2時。こんな時間に業者さんを呼ぶわけにもいかないし、かといってこのまま朝まで放置するのも水道代が気になります。とりあえず、自分でなんとかできないかと、重いタンクの蓋を恐る恐る開けてみました。中は複雑な部品が入り組んでいて、正直、何がどうなっているのかさっぱり分かりません。インターネットで「トイレ タンク 水 止まらない」と検索し、原因となりそうな部品の名前(ボールタップ?フロートバルブ?)をいくつか見つけましたが、どれが該当するのか、どう対処すればいいのか、素人には判断がつきません。とりあえず、止水栓を閉めれば水は止まるはずだと考え、トイレの壁際にある止水栓を探しました。しかし、マイナスドライバーで回すタイプのもので、しかも固くてなかなか回りません。工具箱を探し出し、ようやくドライバーを見つけて力を込めて回すと、なんとか水の流れる音は止まりました。これで一安心、と思ったのも束の間。次にトイレを使いたいときはどうすれば?毎回止水栓を開け閉めするのは現実的ではありません。結局、その夜は眠れぬまま朝を迎え、朝一番で近所の水道修理業者さんに電話をしました。駆けつけてくれた業者さんがタンクの中を見ると、「ああ、フロートバルブのゴムが劣化して、ちゃんと弁を塞げていませんね」とすぐに原因を特定。手際よく新しい部品に交換してもらうと、あっけなく水漏れは止まりました。原因が分かれば簡単なことだったのかもしれませんが、深夜に突然トラブルに見舞われると、本当にパニックになりますね。日頃からトイレの仕組みや応急処置の方法を少しでも知っておくことの重要性を痛感した、忘れられない夜となりました。