排水トラップ欠如が招いた浴室トラブル例
東京都内にある築30年の中古マンションを購入したBさん夫妻。リフォーム費用を抑えるため、水回りは最低限の手直しで入居しました。しかし、暮らし始めてすぐに浴室の異変に気づきます。常にどこからか漂ってくる、カビ臭とは違う、明らかに下水のような不快な臭い。換気扇を回し続けても、市販の消臭剤を使っても、臭いは一向に改善しませんでした。特に湿気の多い日や、夏場はその臭いがひどくなり、せっかく購入したマイホームでのバスタイムが苦痛なものになっていきました。さらに、追い打ちをかけるように、浴室で小さな虫、特にチョウバエを頻繁に見かけるようになりました。排水口周りを念入りに掃除しても、数日経つとまた現れます。どこから侵入しているのか不思議に思っていましたが、ある時、インターネットで調べていて「排水トラップ」の存在を知りました。排水トラップが下水の臭いや虫の侵入を防いでいるというのです。まさかと思い、自宅の浴室の排水溝を確認してみると、そこにはお椀型の部品などはなく、排水口の穴が直接、暗い管へと繋がっているように見えました。排水トラップが存在しなかったのです。Bさん夫妻は、すぐにマンションの管理会社と購入時の不動産会社に連絡。調査の結果、やはり排水トラップが設置されていないことが判明しました。おそらく、建築当初の仕様か、過去のリフォームで撤去されたままになっていたのでしょう。臭いや虫の原因が特定できたことで、夫妻はリフォームを決意。費用は掛かりましたが、専門業者に依頼し、床の一部を解体して新たに排水トラップを設置する工事を行いました。工事完了後、あれほど悩まされていた下水の臭いは嘘のように消え、虫の姿も見かけなくなりました。Bさん夫妻は、ようやく安心して入浴できるようになったと語ります。この事例のように、排水トラップがないことは、単に不快なだけでなく、害虫の侵入経路となり、衛生面での問題も引き起こします。中古物件を購入する際や、賃貸物件に入居する際には、浴室の排水溝にトラップがきちんと設置されているかを確認することが、後々のトラブルを防ぐ上で非常に重要であると言えるでしょう。