トイレの床にじわじわと広がる透明な水漏れは、様々な原因によって引き起こされます。ここでは、実際にあったいくつかの事例とその解決策をご紹介します。原因を特定する際の参考にしてください。ケース1:マンションで階下に漏水。床には透明な水たまり。調査の結果、原因はトイレタンクと便器を接続している密結ボルトの緩みと、それに伴う密結パッキンの劣化でした。ボルトが緩んだことで隙間ができ、タンク内の水が少しずつ漏れ出し、便器の外側を伝って床に溜まっていました。最初は少量でしたが、放置したことで床材にしみ込み、階下の天井にまで被害が及んでしまったのです。解決策としては、密結ボルトを増し締めし、劣化した密結パッキンを新しいものに交換しました。さらに、被害が出た床材と階下の天井の修繕も必要となりました。早期に対応していれば、階下への漏水は防げた可能性が高い事例です。ケース2:便器の根元、床との設置面付近から常にじわじわと水が滲み出ている。透明な水で、臭いはありません。様々な接続部を確認しても異常は見られません。詳しく調査したところ、便器と床下の排水管を接続している「床フランジ」という部品の劣化、もしくは設置不良が原因でした。床フランジの密閉性が失われ、排水時に少量の水(この段階ではまだ比較的きれいな水)が隙間から漏れ出ていたのです。解決策は、一度便器を取り外し、劣化した床フランジを新しいものに交換し、コーキング材なども使用して確実に密閉することでした。これは専門的な作業が必要となります。ケース3:冬場になると、トイレの床、特に給水管の周りが濡れている。夏場はあまり気にならない。これは、給水管やトイレタンクの「結露」が原因である可能性が高い事例です。冷たい水道水が流れる配管やタンクの表面が、室内の暖かい空気によって冷やされ、空気中の水分が水滴となって付着します。これが溜まって床に落ちることで、水漏れのように見えるのです。これは故障ではありませんが、放置するとカビの原因になります。解決策としては、配管に保温材を巻く、タンク内に結露防止のシートを入れる、換気をこまめに行う、除湿器を使用するなどの対策が有効です。このように、一口に「透明な水漏れ」と言っても、原因は様々です。どこから、いつ、どのように漏れているのかをよく観察することが、適切な解決策を見つけるための重要な手がかりとなります。