これは、ある単身赴任中の男性Aさんが実際に経験したシンク詰まりの事例です。Aさんは料理が好きで、週末にはよく揚げ物を作って楽しんでいました。しかし、一人暮らしということもあり、揚げ物で使った後の大量の油の処理に困っていました。最初は凝固剤を使ったり、牛乳パックに詰めたりして処理していましたが、だんだんと面倒になり、「少量なら大丈夫だろう」と、少しずつシンクに流してしまうようになったのです。ある日、いつものように天ぷらをした後、まだ温かい状態の油をシンクに流してしまいました。その直後は特に問題なく水は流れていましたが、翌朝、キッチンを使おうとしたところ、シンクの水が全く流れなくなっていることに気づきました。排水口からは嫌な臭いも漂ってきます。「まずい、完全に詰まらせてしまった」Aさんは青ざめました。市販のパイプクリーナーを何本か試してみましたが、全く効果はありません。ラバーカップを使っても、びくともしません。完全に油が排水管の中で固まってしまったようでした。途方に暮れたAさんは、インターネットで調べて水道業者に連絡。すぐに駆けつけてくれた業者に状況を説明すると、「これは典型的な油詰まりですね。おそらく排水管の奥で固着しています」とのことでした。業者はまず、トーラーと呼ばれるワイヤー式の機械を使って詰まりの除去を試みました。しかし、油の塊は想像以上に硬く、トーラーだけでは貫通させることができません。そこで業者は、高圧洗浄機を使用することにしました。強力な水圧で排水管内部の油汚れを粉砕し、洗い流す方法です。高圧洗浄機のノズルを排水管に挿入し、作業を開始すると、しばらくしてゴボゴボという音とともに、大量の白い油の塊が逆流してきました。「うわっ、すごい…」Aさんは思わず声を上げました。数十分間の高圧洗浄作業の結果、排水管はきれいに貫通し、シンクの水は勢いよく流れるようになりました。業者からは、「一度に大量の油を流すと、このように完全に管を塞いでしまうことがあります。油の処理は絶対に適切に行ってください」と強く注意を受けました。高額な修理費用もかかり、Aさんは「二度と油は流さない」と固く心に誓ったそうです。この事例は、油をシンクに流すことの危険性を改めて教えてくれます。