キッチンの蛇口だけでなく、洗面台やお風呂場の蛇口も、毎日使ううちにパッキンが劣化し、水漏れを起こすことがあります。これらの場所の蛇口は、キッチンとはまた違った種類や構造のものも多く、パッキン交換の際にはそれぞれ特有の注意点があります。まず洗面台の蛇口についてです。洗面台には、水だけが出る「単水栓」と、お湯と水が出る「混合水栓」があります。昔ながらのハンドルを回すタイプであれば、キッチン同様、コマパッキンやスピンドル部分のUパッキンなどを交換することが多いです。比較的新しい洗面台では、キッチンと同じようなシングルレバー混合栓が主流ですが、洗面台特有の機能として「ポップアップ排水栓」(レバー操作で排水口の栓を開閉する仕組み)と連動している場合があります。蛇口の分解・組み立ての際に、このポップアップ用のロッド(棒)の接続を外したり、元に戻したりする必要があるため、少し作業が複雑になることがあります。無理に力を加えるとロッドが曲がったり破損したりする可能性があるので注意が必要です。次にお風呂場の蛇口です。お風呂場では、洗い場と浴槽への注水を切り替えたり、シャワー機能が付いていたりするため、構造がより複雑な「サーモスタット混合水栓」が多く使われています。このタイプは、設定した温度のお湯を安定して供給するためのサーモスタットカートリッジや、シャワーとカラン(蛇口)を切り替えるための切替弁カートリッジ(または切替弁パッキン)などが内蔵されています。これらのカートリッジやパッキンが劣化すると、温度調節がうまくいかなくなったり、シャワーとカランの両方から水が出てしまったり、あるいはどちらか一方が出なくなったりといった不具合が発生します。これらのカートリッジ交換は、部品の種類が多く、適合するものを正確に選ぶのが難しい上、分解・組み立ての手順も複雑な場合が多いです。特に、内部構造を理解せずに分解すると、元に戻せなくなるリスクも高まります。そのため、浴室のサーモスタット混合水栓のパッキンやカートリッジ交換は、DIYに慣れている方以外は、専門業者に依頼するのが賢明と言えるでしょう。このように、洗面台や浴室の蛇口は、その場所ならではの機能や構造を持っています。パッキン交換を検討する際は、まず自宅の蛇口の種類と構造をよく確認し、難易度が高いと感じたら無理せずプロに相談することが大切です。