突然水が出ない朝水道管凍結体験談
それは、数年前に経験した、忘れもしない寒い冬の朝のことでした。前日から「今シーズン一番の寒波」とニュースで盛んに報じられており、確かに夜中から冷え込みが厳しかったのを覚えています。朝、いつものように顔を洗おうと洗面所の蛇口をひねった瞬間、異変に気づきました。水が、全く出ないのです。一滴も。最初は「まさか断水?」と思いましたが、キッチンも、お風呂場も、トイレの水さえ流れません。これはただ事ではない、と直感しました。外はまだ薄暗く、気温計を見るとマイナス6度を指しています。「もしかして、水道管が凍った?」人生で初めての経験に、頭が真っ白になりました。どうすればいいのか全く分からず、とりあえずインターネットで「水道管 凍結 対処法」と検索。すると、「凍った部分にぬるま湯をかける」「ドライヤーで温める」といった情報が出てきました。しかし、問題は「どこが凍っているのか」が分からないことです。我が家は築20年ほどの一戸建てで、屋外の配管も一部露出しています。外に出て、露出している管や水道メーター周りを確認しましたが、特に凍っているような様子は見られません。とはいえ、他に原因も思い当たらず、手当たり次第に露出している管にタオルを巻き、やかんで沸かしたぬるま湯をかけてみました。しかし、状況は一向に改善しません。時間だけが過ぎ、焦りは募るばかり。水が出ないことの不便さを、これほど痛感したことはありませんでした。顔も洗えず、歯も磨けず、トイレも満足に使えない。朝食の準備もできません。途方に暮れ、結局、朝一番で地域の水道修理業者さんに電話をしました。幸い、比較的早く駆けつけてくれ、プロの目で凍結箇所を特定。それは、屋外の給湯器に繋がる配管の一部でした。専用の解凍機材を使って作業してもらうと、30分ほどで無事に水が出るようになりました。業者さん曰く、「露出している管には保温材をしっかり巻くこと、そして特に冷え込む夜は、水を細く出しっぱなしにしておくのが効果的ですよ」とのこと。修理代は痛い出費でしたが、水のありがたみと、凍結対策の重要性を身をもって学んだ一日でした。あの日の朝の絶望感は、もう二度と味わいたくないものです。